
なぜ、私たちの会話はすれ違うのか?
― 論点のズレを防ぐ6つの視点と思考術 ―
① なぜ論点はずれるのか?
会話がうまくいかない原因の多くは「論点のズレ」にあります。では、なぜそんなズレが起きてしまうのでしょうか?心理的・構造的な要因を以下に整理します。
1. 前提の認識違い
「当然わかっているだろう」という思い込み。背景知識や状況認識が異なると、話はかみ合いません。
2. 言葉の定義の差
「やさしさ」や「効率」など、抽象語の捉え方が違うと、同じ言葉でまったく違う世界を語っていることになります。
3. ゴールの不一致
片方は「解決」が目的、もう片方は「共感」が目的――話している内容が正しくても、目指す地点が違えば論点はずれていきます。
4. 感情のすり替え
本当は「寂しい」なのに「怒っている」と表現してしまう。伝えたい本音と表現の表層が乖離すると、ズレは拡大します。
5. 期待値ギャップ
「これくらい察してくれるだろう」「普通こう言えば伝わるでしょ」という期待が、相手に共有されていない場合。
② どうすれば論点のずれを防げるのか?
論点のズレを防ぐには、「会話の導線設計」が鍵です。以下の3つの技術が効果的です。
1. 共通ゴールの明示
「この会話のゴールは何か?」を最初にすり合わせておく。議論か共感か、確認するだけで全く違います。
2. メタ認知的な進行
「今ちょっと話が逸れてるかも」と、話の“位置”を俯瞰する。自分も相手も話の地図を持てるようにする。
3. 話の構造化(PREP法、ピラミッド構造)
結論→理由→具体例という順序で話すことで、意図と主張が明確になり、論点がブレにくくなります。
③ ずれた会話が生む“誤解・対立”の具体例
仕事の現場で
A「もっと効率を上げてほしい」
B「(どうせ数字だけ見てるんでしょ…)」と不信感が募る
→実際は「残業減らして皆で早く帰ろう」という想いだったが伝わらず、関係悪化。
恋愛で
彼「最近冷たくない?」
彼女「疲れてただけなのに…」
→“気持ち”の話と“行動”の話が混線し、すれ違いに。
家族で
親「将来のために勉強して」
子「押しつけないでよ!」
→目的(将来の安心)と手段(勉強)の混同によるズレ。
SNSで
投稿者「働き方を見直すべき」
→「働かない奴の言い訳だ」と炎上。そもそも文脈が共有されていない。
◎逆に、ズレを活かした例
部下「私はこう考えます」
上司「違う視点だね、そこから考え直してみよう」
→ズレを否定せず“視野の拡張”と捉えることで、発展的な議論に。
④ 「ずれ」の本質とは何か?
会話は「意味のやりとり」である以上、“意味”は相手の頭の中にあるという前提を忘れてはいけません。
哲学者ヴィトゲンシュタインの言葉を借りれば、
「言語の限界が、私の世界の限界である」
つまり、会話とは「ズレ」を内包した共同作業です。心理学の世界でも、人は自分の前提で他人を解釈するバイアス(確証バイアス)が存在するとされています。
だからこそ、「完全に通じ合うこと」は幻想。ズレる前提で、どれだけ調整できるかが重要なのです。
⑤ 良い“ずらし方”と悪い“ずれ方”の違い
種類 | 内容 | 結果 |
---|---|---|
良いズラし方 | 話題転換/柔らかい異論/問いの再設計 | 会話が深まり、新たな気づきを生む |
悪いズレ方 | 話のすり替え/論破欲/マウント | 相手の感情を傷つけ、信頼を失う |
たとえば
・「それも一理あるけど、こう考えることもできないかな?」
・「前提を少し変えると、また違う結論になるかもね」
といった“ゆるやかなズレ”は、関係を壊すことなく視野を広げます。
逆に、
・「いや、それは間違ってる」
・「話にならない」
という“断絶のズレ”は、対話を分断させます。
⑥ まとめ:適切な会話導線を設計するには?
最後に、ズレを最小限にし、会話の質を高めるためのチェックリストを紹介します。
✅ 会話の導線設計10のポイント
- 会話の目的を最初に確認する
- 相手の立場や背景を想像する
- 用語や概念の定義をすり合わせる
- 自分の主張を構造化して話す
- メタ視点で会話の流れを管理する
- 話が逸れたら柔らかく戻す
- 相手の意図や感情を先に汲む
- “理解”を目的に聴く(正すのはそのあと)
- 感情の変化に気づいたら言語化する
- 結論を急がず、余白ある言葉を使う
🎯結論
「論点を正す前に、まず“共通の地面”を作ろう」
会話は戦いではなく、共同作業。ズレは悪ではありません。ズレに気づき、調整しようとする姿勢こそ、良質な関係の第一歩なのです。

XANY.GEEKのナビゲーター / 俳優 / 建設業の社長
キョータ
学生時代はサッカー、就職せずに俳優の道へ(まだやってます)。家業でもあった仕事で起業して5期目を迎えて無事「建築業」取得して、人との繋がりとビジネスの歯車が嚙み合ってきました。大阪府高槻市で母親が美容師で自社の美容室運営をしてもらってます!https://beauty.hotpepper.jp/slnH000540300/ 口コミ満点は実は一度も口コミをお願いしたことがなくてリアルにご満足いただけてます。(母親の自慢)